【学生諸君へ告ぐ】そもそも仕事は “楽しいものじゃない” という話

【学生諸君へ告ぐ】そもそも仕事は “楽しいものじゃない” という話
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今回は主題のとおり、学生諸君へ向けて「前提として仕事は楽しいものではない」というテーマで語らせてもらおう。

というのもこの間、僕自身の就活時代を思い返す機会があった。恥ずかしながら当時は楽しさや給与の額、休日の多さであったりと、仕事にかなり多くを求めていた覚えがある。そして、僕以外にも多くの学生さんが抱く感覚だろう。

だが、仕事の本質はけっして楽しいものではない、ということをお伝えしたい。むしろ大半は面倒でつまらないものばかりなのだ。これを踏まえたうえで、仕事の選び方や、仕事の本当のやりがいや楽しさについてお話したいと思う。

仕事とは他者の労力を代行すること

仕事とは newyork taxi

ひとことで言ってしまえば、仕事とは「他者の労力を代行すること」に他ならない。人が “やりたがらない”、あるいは “できない” という事柄を代行し、その対価として金銭を受け取る、という仕組みが仕事の基本的な構造である。

例えば、週末の飲み会帰りというシチュエーション。自宅までわずか2kmだったとしても、多くの人はタクシーで帰宅するだろう。一般的には徒歩圏内の距離なんだけど、体調や時間帯、翌日のスケジュールなどを加味すると、徒歩での帰宅がタクシー代以上に手間に感じられるわけ

このように、需要と供給との間には「やりたくない / できない」という意思が介在しているのである。ネガティブな行動心理から仕事は生まれるのだ。

本質的には楽しいものではない

仕事とは 洗車

察しの良いあなたはお分かりだろうが、とどのつまり、仕事とは「人がやりたくない苦労」を肩代わりする行為とも言い換えられる。まぁ趣味嗜好は異なるから、「やりたくない」と言い切ってしまうのは少々乱暴かもしれないが、考え方としては的を射てるはずだ。

ここまでくると、仕事に「楽しさ」を求めるのは根本的にはズレていることに気が付くよね。時間や体力など、自己のあらゆるパラメータを減らして金を稼ぐこと、これが仕事なのである。

ごくシンプルに考えると、そもそも「楽しい」という感情は金を払って得る感覚だ。つまり余暇活動から生まれるもの。ある意味、仕事とは正反対といってもいい。

ただし、余暇とはまた違った「楽しさ」は仕事からも得ることが可能である。僕が本当に伝えたいのはここからだ。

仕事の本当の楽しさとは?

ここまでの話だと、「楽しいのか楽しくないのか結局どっちやねん」ってなるはずだ。ごもっとも。この矛盾を説いていこう。

まず、余暇活動でいうところの楽しさとは「ストレスのない “楽しさ”」という表現が妥当だ。金を払うことであらゆる苦労を廃し、愉悦に浸るイメージ。

一方で仕事における楽しさは「ストレスのなかで生まれる “歓び”」といったところか。ひょっとすると仕事における楽しさとは、「喜ぶ / 歓ぶ」というニュアンスが近いかもしれない。

もう少し具体的な話をしよう。下のように大まかに3つに分類してみたので、次項から

  • 趣味趣向から生まれる楽しさ
  • 能力を発揮できる楽しさ
  • 金銭など付加価値による楽しさ

① 趣味趣向から生まれる楽しさ

【学生諸君へ告ぐ】そもそも仕事は “楽しいものじゃない” という話 船乗り

みんなそれぞれ趣味趣向があるわけで、同じ事柄でも感じ方は人によって違う。その仕事が楽しいのかも結局のところ当人次第なのだ

例えば、しょうじ(@soumu_to_writer)は船乗り時代、オイルまみれになって工具を扱う時間が “たまらなく好きだった” らしい。だがしかし、本人の気持ちとは裏腹に「オイルまみれで工具触って大変だな」と客観的には映ることだろう。

もちろん、いくら好きなことでも仕事となると楽しいことばかりではなくなる。しかし “仕事だからこそ楽しい” という感覚も、また確かにある

どういうことか。もう少し発展した内容へ進もう。

② 能力を発揮できる楽しさ

【学生諸君へ告ぐ】そもそも仕事は “楽しいものじゃない” という話 営業マン

スポーツで例えるなら、仕事は「試合」、余暇活動は「練習」という感覚に近い。となると、楽しいという感覚を得るには「それ自体が好きか?」ともうひとつ、「良い結果を出せるか?」が鍵になる。誰だって、できないことは楽しくないし、反対に結果が伴えば楽しめる。

かつて僕は営業職をしていたわけだが、それなりに長く続けられたのは自分の能力を存分に活かせる仕事だったからだと思う。自分の頑張りが数字に表れたり、周りから評価されたりすると言いようのない高揚感を感じたものだ。

このように、はっきりと能力や結果が評価されるのは仕事ならではの感覚ともいえる。そこから生まれる楽しさは、余暇活動ではなかなか得難い。

続いて、給与や付加価値といった点についても触れておこう。

③ 金銭など付加価値による楽しさ

【学生諸君へ告ぐ】そもそも仕事は “楽しいものじゃない” という話 自動車整備士

仕事は金を稼ぐための行為というのは言うまでもない。お金は生活を送るうえで欠かせない部分だし、余暇活動との最大の相違点ともいえる。

ただ面白いことに、楽しいという感覚は本来金を払うことで得るものなのだが、“金を稼ぐ行為そのもの” が楽しさを生むケースも多々ある。仕事の辛さよりも、受け取る対価のほうが勝るケースだ。

例えば、次の給与で目標貯金額に手が届くとする。不思議なことに、僕らはたったこれだけで仕事のモチベーションは上がったりする。素直に仕事自体を楽しめてるかは怪しいが、前向きに働けているのだから広義では同じことだ。

ほかにも、仕事自体は好きじゃないけど「高給だから楽しめてる」「業界のなかでも休みが多い会社だから」「お洒落でかっこいいイメージから」という理由で仕事を楽しんでる人もいる。なんとなく共感できるんじゃないだろうか。

仕事は様々な要因が複合的に絡んでいる。いずれにせよ「仕事のどこに楽しみを見出すか?」が鍵となるわけ。

自分という人間をよく理解することが大切

長くなってしまった。

すなわち、仕事選びは “自分をよく理解すること” が肝なのである。「何に関心を示すのか?」「何が得意なのか?」など、日ごろから自分をよく見つめておくと良い。己のツボを心得ておけば、毎日の仕事に楽しみを見出すことは大いに可能である。

これから職へ就くみなさん。ちょっとでも頭の片隅に置いていただけたら幸いだ。