【日本のエンジニア不足】機械工学系の人材が足りなさすぎる現状

【雑談】需要に反して機械工学系エンジニアが足りてない現状
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人材不足はどの業界においても取り沙汰されるが、とりわけ影響が大きいのが製造業界である。僕は実際に製造業界に携わるようになって、実際にこの目で見てそう実感した

なかでも、昨今の機械工学系統出身のエンジニアは深刻な人材不足に陥っており、今後の産業に大きな打撃を与えると懸念されているのだ。政府がきちんと統計をとって報告にまとめていることから、事が重大であることがうかがえる。

この報告というのを元にして、今回は機械系エンジニアの不足について少しお話したい。

経済産業省のデータからわかる機械工学系の人材不足

平成30年4月、経済産業省は3,000件の回答から得た「理工系人材の需給状況」という調査アンケートを公表した。この調査によって機械工学系エンジニアの深刻な人材不足が明るみになっている。

ひとつ付け加えると、単に人手が不足しているというだけではなく、機械工学を習得している人材は企業ニーズが非常に高く、数ある学問の中でもとくに企業が求めている人材だ。すなわち、必要不可欠な人材がまったく足りていない状況なのである。製造業が基幹産業である日本にとって、これは深刻な事態だ。

この調査はどういったものなのか、もう少し踏み込んで見てみよう。まず調査概要について、経済産業省の公式ページの引用文が以下である。

調査の結果概要

1.社会人アンケート
●「業務において重要な専門分野」と「大学で学んだ専門分野」を聞いたところ、機械系、ハード・ソフト、プログラム系等では「業務において重要な専門分野」が「大学で学んだ専門分野」を上回っており、企業のニーズが高いことがわかりました。

2.企業アンケート
● 平成29年度の採用予定人数採用実績人数を比較すると、全体では採用実績の方が6.8%減となっており、機械工学、電力、土木工学等の分野においてその差が大きくなっています。

5年後技術者が不足すると予測される分野としては、機械工学、電力、通信・ネットワーク等があり、それぞれ全回答数の12.4%、7.5%、5.8%となっています。

引用: 理工系人材需給状況に関する調査結果を取りまとめました|経済産業省

それぞれのアンケートからどんな結果が見えたのか、順々に見ていきたいと思う。

◆ 機械工学は圧倒的に企業ニーズが高い

表1. 現在の業務で必要とする分野と大学で学んだ分野の比較

機械工学 人手不足 経済産業省
画像引用: 経済産業省PDF

機械工学という分野の企業ニーズの高さは、1つ目のアンケートからよくわかる。このアンケートは869人の社会人(技術者)を対象に「大学で学んだ分野」「仕事で学んだ分野」「学び直したい分野」を尋ねたものだ。画像が荒くて恐縮だが集計結果は表1のとおりである。(きちんと見たい場合はリンクから)

表1から機械工学とIT関連(ハード・ソフトウェア、プログラム)は「企業が必要とする分野」(赤線)が全分野のなかでも高いことが読み取れる。とりわけ、機械工学の数値は回答者のうち27.8%と著しく高く、企業のニーズが大きさが一目瞭然だ。

◆ 機械工学を含め多くが「人材確保」に困窮

表2. 平成29年度4月採用予定人数、採用実績人数と平静31年度4月採用希望人数の比較(新入社員)

機械工学 人手不足 経済産業省
画像引用: 経済産業省PDF

つづいてのアンケートは、1,300社を超える企業を対象に「採用予定」「採用実績」「採用希望」の回答を得たものです。看護学を筆頭に、機械工学、電気工学、土木工学、IT関連など、全体的に採用が滞っていることがよくわかる。

とりわけ、機械工学をはじめとする工学系統の分野は、採用実績が採用予定の人数を大きく下回る結果となっている。 まさに社会の縮図といえる。

◆ 企業側も「技術者の不足」を予感

表3. 5年後技術者が不足すると予想される分野

機械工学 人手不足 経済産業省
画像引用: 経済産業省PDF

これまでの結果を受け、企業も技術者の不足を予感している。これについても1,300社を超える企業に対し、5年後に「最も不足する分野」「2番目に不足する分野」「3番目に不足する分野」の回答を得た。

1~3番目の回答を合計したところ、機械工学が全体の12.4%にも達する結果となった。これは全90分野でもトップの回答数で、8社に1社が「5年後は機械工学系エンジニアが不足する」と感じていることを意味する。

これは当然の結果ともいえるだろう。企業ニース高いにもかかわらず、採用が捗っていない状況なのだから、人員不足は当然である。これまでの産業を支えてきた団塊世代が退くこともあり、まさに今、時代が「機械工学を学ぶ方」を求めているのだ。

あとがき

今どきどこの業界も人手不足である。僕はアルバイトを含めれば、これまでいくつかの業界を経験してきた、働き手が飽和している会社なんて思い当たらない。

ともかく、高校生や大学生のみなさんは、一度きちんと将来の職について考えてみてほしい。