【雑学】氷結の缶って実はNASA由来の技術が採用されてるらしい

【雑学】氷結の缶って実はNASA由来の技術が採用されてるらしい
ボタン-記事-しょうじ

僕たちは普段、数々の商品に触れて生きています。お金さえ払えば手に入る容易さから、さも当たり前のように享受しているわけですね。しかしながら、それらは消費者の手元に届くまでに途方もない試行錯誤を経ており、商品の一つ一つにドラマが隠されているのです。

さて、そんな今回のお話は、大手飲料水メーカーKIRINの人気チューハイシリーズ「氷結」にまつわるもの。フタを空けると「パキパキッ」と音をたてて缶にカットが入るあの仕掛け、あれって実は、宇宙開発でお馴染みのNASAに由来するものすごい技術だというのですよ。

◆ KIRINの特許技術「アルミダイヤカット缶」

僕がこのことを知ったのは、なんかのテレビ番組がきっかけだったのかな。機械工学科出身ということで、とにかく「NASA」という単語に興味が沸いたものですから、すぐさまKIRINのWEBサイトを調べました。

どうやら、パキパキと割れるあの仕掛けは「アルミダイヤカット缶」という名称で、見出しではKIRINと題打ちましたが、厳密には製造元である東洋製罐 (株) が特許を取得しているようです。原案となったのは1960~1990年に行われたNASAの強度研究

◆ ロケットの強度研究からアイディアを得る

ロケットなどの航空機は「強度」「軽量性」という相反する要素が求められ、素材そのものの耐久性に頼るのではなく、形状にも工夫を施す必要があります。これについて研究を行っていたのが、東京大学名誉教授にして航空宇宙開発の権威である三浦公亮(みうらこうりょう)氏。

三浦氏が考案した通称「ミウラ折り」は、 菱形のような規則的な折り目を与えることで構造物の強度を補強するという成型技術です。調べてみるまで知りませんでしたが、ミウラ折りと言えばその分野では世界的に有名な技術なのだそう。氷結もそうですが、自動車用タイヤ地図の折り目など、けっこう色んな分野で使われているみたいです。

◆ 氷結のブランドイメージを構築

成形にひと手間加えることで耐久性の向上が可能となり、ひいては使用するアルミ材を大幅に削減できるわけですから、アルミダイヤカット缶はメーカーにとってメリットばかりです。また、三角形の凹凸はデザイン的にも目を惹くものがあり、氷結の「爽快感」というブランドイメージにも相応しいものといえます。

2001年から販売がスタートした氷結ですが、現在では市販チューハイの代表格といっても過言ではなく、「チューハイ=氷結」と連想する方も多いと思います。これだけの認知度が高まったのも、アルミダイヤカット缶による貢献が大きいのでしょう。

◆ 手触りや音でも楽しませる

ダイヤ型の凹凸がついた表面は見た目も楽しいですが、指にかかりやすいことから缶の落下防止にも効果を発揮します。ツルツルした缶は表面の水滴も相まって、どうしても滑りやすくなってしまいますが、ダイヤカット缶ならこのリスクが軽減されるわけです。

あと、氷結のダイヤカット缶は手触り心地いい。ダイヤカットによってアルミの薄さは0.1mm程度となっており、缶そのものが非常に軽く、捨てるときに潰しやすいメリットもあります。細かいポイントですが、こうした配慮は消費者にとってうれしいですよね。

また個人的には、プルタブを開けたときの音や感触がたまらなく好きです。「クシュッ」と潰れる感触といい、 「パキパキッ」という音といい、 このちょっとした快感が氷結を飲むときの楽しみなのひとつ。

あとがき

普段はもっぱらウィスキーやビールの僕ですが、たまにシュワシュワで甘いチューハイも飲みたくなってしまいます。仕事帰りにコンビニへ寄ったら最後、つい氷結を2本ほど買って帰宅し、映画を見ながら一人宴会。

スーパードライだったら一思いにプルタブを開けますが、氷結ならばここで一呼吸。心の準備を整えて、いざ開封。ダイヤカット缶が潰れてゆくのを耳と手で楽しむ、なんか幸せなひとときです。