少し前に耳にして驚いた話。なんと2020年現在、新卒社会人のおよそ30%が3年以内に仕事を辞めているのだとか。まぁ、僕自身も3年強で1社目を辞めているし、友人界隈を見ていても現実的な数字に感じる。
その理由は千差万別だろうが、いずれにせよ、誰しも若いうちに “仕事の壁にぶち当たる瞬間” ってのがあるのかなと、そんな風に思う。
さて、今回は僕自身の経験、そして友人の体験談や転職エージェントの助言などを元に、20代前半における「退職 / 転職」についてお話してみたい。
◆ 退職/転職は「逃げ」の決断ではない
かくいう僕も、今の会社で3社目。つまり2度の転職してるわけなんだけど、どちらも仕事を辞めるときは眠れぬ夜が続くほど悩んだ。
誰しも、仕事を辞めるときって「ただ現実から逃げてるんじゃないか?」とか、まぁ色々と悩むはず。成果が出なかったり、職場に馴染めなかったりと、ただ単に己の能力不足なんじゃないか、なんてね。
だけど実はこの考え自体が的はずれだったりする。なぜなら仕事には、というより、物事全般には必ず「向き不向き」があるからだ。
前の会社辞める時、「この会社を辞めるようなやつが他で通用する訳がない」とか、「お前は次の職場で失敗するぞ」とか色々言われましたけど、普通に転職先で楽しくやれてるので気にせず辞めましょう。むしろそんなこと言ってくる人達と一緒に居たことが恥ずかしいと今は思う。
— Trust (@Trust_1128) May 15, 2020
実際いくつかの転職体験談に目を通すと、前の職場では「お前みたいなヤツはどこにいっても通用しない」って叱られていたけど、いざ転職してみると「覚えが速いね」「周りが見えてるね」なんて評されるケースも珍しくない。
そもそも会社なんて星の数ほどあるのだから、たかが1回や2回で、自分に最適な場所を見つけることのほうが難しい。新卒入社なんて、「初手でアタリを引けたらラッキー」くらいの感覚である。現実的に考えて、1社目で天職に就くなんてどれほど幸運なのだろうね。
とはいっても、真剣に退職を考えている精神状態では、どうしたってネガティブな方へ考えが傾いてしまうと思う。なので、まずはシンプルに視野を広げてみるといい。
◆ 大切なのは「続ける/辞める」ではなくその「中身」
「石の上にも3年」というように、日本では長く続けることを美徳と捉える文化がある。この忍耐が一流のモノづくりを可能にしたんだなと心底思う。
ただ一方で、どうも世間では真に受けすぎて「続ける=良い」「辞める=悪い」という考えに凝り固まっているとも思える。極端な思考というか、物事を「良い or 悪い」だけで捉え過ぎなのかなと。
本来、物事の選択ってのは自由で、そして個人の責任能力に委ねたものである。退職に限っては批雇用者の権利に他ならず、それそのものを「良い / 悪い」の2択で判断するような事柄ではない。仕事を続ければ給与を受けれるし、辞めれば受けれなくなる、ただそれだけ。
本当に大切なのは続けるだの辞めるだの表層的な部分ではなく、その中身だ。自分なりに真剣に考え行動し、そこから何か学びを得たか。どう成長したかという話。
退職が良い悪いは二の次、三の次である。
◆ 仕事を続けることが「良い」とは限らない
今はだいぶ緩和されたが、少し前の社会ってのは「仕事を続ける=良いこと」という考え方が行き過ぎて、「仕事を続ける=当然のこと」という感覚だった。定年まで会社一筋ってのが当たり前の時代。
もちろん、1社に捧げる人を非難するつもりは毛頭ないし、むしろ尊敬の念すら覚える。ただ、そのことを「当たり前」と捉える社会ってのは、世界的に見てもけっこう異常だ。
この感覚が転じて「仕事を辞める=普通のこともできい」みたいな風潮が浸透してるわけ。でも、冷静に考えて「仕事を続ける=良い」とは一概には言えない。
例えば無理に仕事を続けたとして、耐えきれずに心身を壊したり、耐えた先に「昔の自分はもっと辛かった」と次世代に歪んだ教訓を持ち込んでしまったとして、果たしてこれは良い結果といえるのか。答えは満場一致でNOだろう。
昔はもっと大変だった、とか言って自分の時代の労働環境を自慢して「だからお前も我慢しろ」的な論調ぶっかけてくる人、それ単に効率の悪い仕事を自分の代で改善できずに次の世代に引き渡してしまったっていう至らなさを自慢してるだけやんね
— ハンナHannah✊🏿✊🏾✊🏽✊🏻🏳️🌈 (@1d_hs_hannah) June 10, 2020
反対に、入社から2年足らずで辞めたが、その経験から「なぜ上手くいかなかったのか」あるいは「自分のやりたい職業、適した職業」が見えてきたのなら、これは価値のある退職といえるのではなかろうか。
退職という行為そのものを「良い / 悪い」で判断できないと前述したのは、こういうことである。
◆ 人生はトライ& エラーの連続
仕事を続けるにせよ辞めるにせよ、どちらでもかまわない。大切なのは「どちらの選択が正しいか」ではなく、「どれだけ真剣に向きあったか」だ。
真剣に考えた末の転職でも、ひょっとして「失敗した」と感じる瞬間があるかもしれない。そりゃ、人生は成功だけじゃないからね。
【転職してみて驚いたこと】
— カモシカ@ビジネスハック (@kamoshika_en) June 23, 2020
☑︎辞める際に上司と人事は平然とウソをついた
☑︎自分を求めてくれる企業はたくさんある
☑︎自分がいなくても仕事はまわる
☑︎社会の常識だと思っていたことが社内の独自ルールだった
☑︎辞める理由に正解はない、いらない
☑︎いつでも転職できる状態が最大の安定
でも少なくとも、短絡的な考えで辞めるのと真剣に向き合った末に辞めるのでは、そこから先の人生を大きく左右すると僕は思う。はじめての転職は勇気がいるけれど、今の仕事が本当に辛くなったのなら、その先のあらゆる選択を模索してみよう。
アグレッシブな姿勢の転職活動は、惰性で働き続けるよりも英断だと僕は思う。