「今の日本には何が必要か?」--この答えは「効率化」なのではないかと僕は思う。日本たらしめる伝統や慣例は無論すばらしいものだが、一方でそれらが弊害となって業務効率の低下、ひいては生産性を落とす結果を招いている。
現に労働環境が合理的な欧州「ドイツ」と比較してみると、いかに日本の働き方に無駄が多いのかがよくわかる。では具体的にどんな違いがあるのだろうか。今回はそんな内容をお話ししてきたい。
◆ ドイツの産業構造は日本に似ているが…
ドイツといえばヨーロッパでも随一の経済大国である。自動車をはじめ、電子機器や化学製品、工作機械にいたるまでを自国で製造し輸出することで経済を成長させてきた。この過程は日本とも通ずる部分だ。
意外にもドイツの国土は約35.7万km²(日本の94%)と先進国のなかでは小さい部類で、なおかつ人口分布も日本に似ていたりする。ここまで日本と共通点の多い国もないだろう。
だが、あくまでも “共通点が多いだけ” に過ぎず、価値観や国民性といった面はまったく異なる。これは働き方や生産性に大きく関わっているのだ。
◆ ドイツと日本のGDPを比較してみる
GDPの数値は日本のほうが高い
てっとり早くGDPをチェックしてみよう。GDP(国内総生産)は国民が1年間にどれだけ経済価値を生んだかの指標なので、経済力を比べるにはもってこいだ。
IMF(国際通貨基金)が発表したレポート「World Economic Outlook Database」によると、2017年におけるドイツのGDPは3.700兆ドルと記録されており、これが2019年には4.029兆ドルまで伸びると予想されている。
日本はというと、2017年のGDPは4.873兆ドル、2019年には5.070兆ドルに達するとの見込みだ。こう見た感じは日本のほうが優位に思える。
1人あたりのGDPを比較すると?
ところが、総人口および労働人口が多い日本のほうが、単純に比較すればGDPが優位なのは当然だ。
したがって、人口で割って1人あたりのGDPを求めてみる。すると、以下のような興味深い結果がでる。
◇ドイツ
3.700兆(ドル)÷ 0.88億(人)= 42,045(ドル/人)
◇日本
4.873兆(ドル)÷ 1.26億(人)= 38,674(ドル/人)
見ての通り、1人あたり約3,400ドルという差があるのだ。これは日本円に換算すると、1人あたり年間37万円という金額。
しかも、ドイツの労働時間は日本に比べて20%も短いと発表されている。ドイツの労働時間については当ブログでも過去に触れているので、記事最後のリンクから合わせて読んでほしい。
まとめると人手が少なく労働時間も短いのに、日本よりも高い経済効果を生んでいる国、それがドイツなのだ。
◆ 業務効率を上げる「ドイツ流の働き方」
では、ドイツ国民がここまで効率的に仕事を遂行できるのはどんなところに理由があるのだろうか。代表的なものを3つ書き出したので見てほしい。
① 仕事よりプライベートを優先
ドイツでは仕事をプライベートを明確に分け、プライベートを最優先する考え方が一般的。日本では今だに「長時間労働=頑張っている」などと美徳のように考えられることが多いが、ドイツではありえない。
だが、こうして仕事を早く切り上げて自分の時間を大切にすることで、ストレスを溜め込むことなく日々の仕事を全うすることができるのだ。
日本の企業にもぜひ見習ってもらいたい。
② フラットな人間関係
ドイツではあくまでも「役職」は会社の中での「役割」と認識されており、部下であっても言いたいことを発言する風習がある。空気もあまり読まない。
自分の意見を上司にも臆さず言う人が多く、会議もガンガン捗る。建前などは存在しない。
日本だと「上司 > 部下」という構図がはっきりしており、なかなか自分の意見を通すことが難しかったりするため、ここも大きなちがいだ。
③ チームで業務をこなす仕組み
ドイツでは仕事に対して複数人のチームで臨むような働き方が一般的。これにより情報を共有し合うことが可能となる。
基本的に社内の共有ファイルでデータを保管しておくので、担当者が休暇に入っても業務が滞りなく進めることができる。
日本だとキーマンが休んだら会社が回らなくなることもある。冷静に考えるとこれはおかしな状況なのだが、デキる人に仕事が集まってしまうのが日本社会の現状なのだ。
あとがき
今回は、さくさくっとドイツについて語ってみた。自分で書いておいてなんだが、ほんと素晴らしい国だなと痛感せざるをえない。
宣告のとおり、ドイツの労働時間については以下に記事にまとめてあるので、興味があったらぜひのぞいてみてください。